女性における骨粗鬆症の予防と改善法

女性の3人に1人は骨粗鬆症?

女性に多い疾患の骨粗鬆症。
50歳以上の日本人女性の3人に1人は骨粗鬆症といわれています。
近年では、栄養不足や不規則な生活、生理不順などの原因から若年層でも増加傾向にあります。

軽度の負担や振動でも骨折が起こる可能性があるため、晩年を豊かに過ごすためにも予防していきたい疾患のひとつです。

特に、骨の健康と女性ホルモンには大きな関係があり、日々を美しく過ごしていく上でも意識したい課題です。

本日のコラムでは骨粗鬆症の予防や治療法についてお伝えしていきます。

骨粗鬆症とは?

骨粗鬆症とは、一般的に誰もが年を重ねることによって直面する可能性のある健康問題の一つです。
これは主に老人や特に中高年の女性に見られる疾患で、骨の量が減少し、その構造が微細化することで骨がもろくなり、骨折しやすくなる状態を指します。

骨粗鬆症の原因

骨粗鬆症は、遺伝、加齢、ホルモンバランスの異常、生活習慣など複数の要因によって引き起こされます。

その中でも女性ホルモンの低下は大きな要因で、特に閉経後の女性に多く見られます。
また、カルシウムやビタミンDの不足、運動不足、過度のアルコール摂取や喫煙も骨粗鬆症のリスクを高めます。

骨粗鬆症の症状

骨粗鬆症は、特に初期段階では自覚症状がほとんどありません。
しかし、病状が進行すると背中が曲がり身長が縮む、腰や背中の痛みが生じるなどの問題が現れてきます。

最も一般的な症状は骨折で、特に腰や腕、股関節などを骨折しやすくなります。

骨がもろくなるため、日常生活の中での小さな事故や、転んだ際の衝撃でも骨折を引き起こすことがあります。

女性ホルモンと骨粗鬆症

ホルモンの影響

女性ホルモンは体の様々な機能に影響を与え、骨の健康にも深く関係しています。
そのため女性は特に骨粗鬆症のリスクが高く、男性の2〜3倍に及びます。

女性ホルモンとして知られるエストロゲンは、骨を構成する膠質の生成を促進し、骨の健康を維持する役割を果たします。
閉経に伴いエストロゲンの分泌が減少すると、その保護機能が減退し、骨がもろくなり骨粗鬆症を引き起こす可能性が高まります。

これが女性が骨粗鬆症に罹患しやすい大きな理由の一つです。

さらに、日本人女性は骨の質が元々薄いため、骨粗鬆症に罹患しやすい傾向にあります。

生理周期と骨密度

生理周期の変化も骨密度に影響を及ぼします。

不規則な生理が続くとエストロゲンの分泌量が不安定となり、結果的に骨密度が低下することがあります。
逆に、規則正しい生理を保つことは、エストロゲンを一定に保ち、骨粗鬆症のリスクをある程度抑制します。

骨粗鬆症を予防するためにも、生理が不規則な場合はそのままにせず、婦人科で相談するようにしましょう。

骨粗鬆症の予防法

骨粗鬆症は日常生活の改善や適度な運動により、発症リスクを下げることが可能です。
具体的な予防法としては「食事と栄養素のバランス」、「適度な運動」、「生活習慣の見直し」が有効とされています。

食事と栄養素

骨の健康を維持するためには、食事に含まれる栄養素の摂取が重要です。
カルシウムやビタミンDなど、骨形成に必要な栄養素を十分に摂取することが骨粗鬆症予防に役立ちます。
特に乳製品や小魚、緑黄色野菜に多く含まれるカルシウムは、毎日の食事で意識的に摂取するようにしましょう。

過度なダイエットによる栄養不足は、年齢を重ねた頃に響いてくることが多い為、若いうちから栄養の摂取を意識していくことがとても大切です。

また、ビタミンDは骨形成においてカルシウムの吸収を助けるので、日光浴を心がけることも重要です。

適度な運動

身体を動かすことは、骨に適度な負荷をかけて骨量を増やす効果があります。
特に歩行やジョギングなどの体重負荷型の運動は骨形成を促す作用があります。
また、筋肉を使うトレーニングも有効です。

しかし運動を始める際は、適度な負荷を心掛け、無理をせず少しずつ始めていくことが大切です。

生活習慣の見直し

睡眠や喫煙、飲酒などの生活習慣も骨粗鬆症に影響を及ぼします。

睡眠不足は体内のホルモンバランスを崩すため、質の良い睡眠を確保することが重要です。
また、喫煙や過度の飲酒は骨密度を低下させるといわれています。

健康的な生活習慣の形成とともに、定期的な骨密度の測定を行い、早期発見・早期対策に努めていくことも大切です。

骨粗鬆症の診断方法

骨粗鬆症は長い間症状が現れないため、本人が気付かないうちに進行していることもあります。
特に骨粗相症になりやすい閉経後は、定期的なチェックが重要となります。

どのような方法で骨粗鬆症は診断されるのでしょうか。

主に「骨密度検査」「血液検査」「自己診断・セルフチェック」が行われます。

骨密度検査

骨密度検査とは、骨の密度を調べることで骨粗鬆症を診断する方法です。
これはX線や超音波を利用し、骨の中に含まれるカルシウム量を測定します。

骨の強度やもろさを数値化し、骨粗鬆症の進行具合を把握することが可能となります。

特に、腰椎や大腿骨など、骨折リスクが高い部位の骨密度が重点的に調べられます。

結果はT値として表示され、-1以下であれば骨量が少なく、-2.5以下であれば骨粗鬆症と診断されます。

血液検査

血液内のカルシウム濃度や、骨代謝に関わるホルモンや酵素の濃度を調べます。

例えば、カルシウムやリン、アルカリホスファターゼの値が高いと、骨が早速に破壊されている可能性があります。
また、ビタミンDの値が低いと、カルシウムの吸収がうまく行われていない可能性が示唆されます。

この検査により、骨の生成と破壊のバランスや、栄養状態を把握し、より詳細な治療方針を立てることが可能となります。

自己診断・セルフチェック

自身でも骨粗鬆症のチェックをすることが可能です。

具体的には、背が縮んできた、背筋が痛い、姿勢が悪くなったといった変化を感じた場合、骨粗鬆症を疑うべきです。
特に高齢者の方々にとっては、自身の体の変化を把握し、早期に医療機関で診断を受けることが重要です。

骨粗鬆症の治療法

骨粗鬆症の治療には、体内のホルモンバランスを整え、骨密度を高める薬物を投与したり、骨を強くするための適切な運動を教えることなどがあります。

薬物治療

骨粗鬆症の治療法の一つとして、骨密度を高める薬物治療があります。
この治療は主にビスホスフォネートなどの薬剤を用います。
ビスホスフォネートは、骨を作る細胞である骨芽細胞の働きを活性化し、同時に骨を分解する骨吸収細胞の働きを抑制し、全体の骨密度を上げる作用があります。

ホルモン補充療法

閉経後の女性においては、エストロゲンというホルモンの減少が骨粗鬆症を引き起こすことが知られています。
ホルモン補充療法では、このエストロゲンを補充し、骨密度の低下を防ぎます。

運動療法

運動には骨を刺激して骨密度を高める効果があります。
運動療法といってもハードな運動をするわけではなく、歩行や軽い筋トレ、ヨガなどの穏やかな運動でも十分な効果があります。
そして、運動は心肺機能の強化や体力の向上、体のバランス感覚の向上など、骨粗鬆症だけでなく全身の健康にも貢献します。

※薬物治療、ホルモン補充療法、運動療法は、それぞれリスクもあるため、専門の医師と十分に相談してから始めることが大切です。

さいごに

全国で370万人以上が骨粗鬆症と診断されています。
今や高齢者だけでなく、若年層にも増加傾向にあり、これは栄養不足や不規則な生活が原因といわれています。

それぞれの世代で予防への意識を向けて、晩年を豊かに過ごすために今からできることをしていきましょう。

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